#02 邪藩工業学校

ところ変わって市内某所にある邪藩工業学校。
不自然なぐらい暗雲が立ち込めた学校の校門前、黙々と作業を行っている侍風の青年がいた。
名前は、御堂寺 剣蔵(ミドウジ ケンゾウ)。
かなりイラだっている様子の彼は、先ほどから目の前の校舎を不思議そうに眺める通行人を蹴散らしていた。
剣蔵:えぇい!この立て看板が目に入らぬかあっ!!!
彼が怒鳴り散らして右手を叩き付けたのは先ほどまで校門に貼り付けていた立て看板。
デカく殴り書きで『廃校 関係者以外立入禁止!』と書かれている。
何故その生徒である彼が『廃校』を主張するのか。
それは通行人にとって非常に気になったが、聞こうとすると彼が腰の刀に手を当てるので、慌てて逃げ出していた。

剣蔵:はぁ・・・はぁ・・、まったく・・・、拙者がリックの尻拭いをせねばならんとは・・・。
そう呟いて剣蔵は校内の存在自体あからさまに不自然な研究所を眺める。
剣蔵:とにかく当分ここに人を近づかせないようにせねば。とりあえず近づく者は片っ端から切って切って・・・、ん?ラピッド?
ラピッドとは剣蔵が愛弟子のように可愛がっている真っ黒い色違いのラッタのことだ。先ほどまでそこにいたはずなのだがどこにも見当たらない。
剣蔵:しまったあっ!またどこかに飛んでいったか!速すぎて止まらなくなってかってにへばって・・・。まったく!リックもラピッドも世話を焼かせる・・・。
剣蔵はラピッドを探しに校門の前から姿を消した。


そんな、彼の様子を見ていた人物が2人。

優華:ま、魔架ぁ・・・今の見た?
魔架:えぇ。拝見させてもらったわ。
優華:あんな怖い人がいる学校だったなんて・・・
2人がここに来たのは、例のポケモンがこの邪藩工業学校の付近に生息するとの情報を得たからだった。
さっき通行人を追い返した剣蔵の様子を見て、驚いているのだろう。
優華:でも、あの人行っちゃったみたいだし。大丈夫かな?
魔架:読めないの?関係者以外立ち入り禁止・・・見学は無理そうね。
優華:そ、そんなぁっ!
魔架:・・・でも、校舎の周りを見るだけなら大丈夫かしら。
優華:本当!?わぁい、魔架あったまいい!
魔架:これは頭の良い悪いの問題ではないわ・・・まぁいいか。
優華:さぁ、早速調査開始しよ!
2人は、邪藩工業学校の周りを歩き出した。

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