知るべし、教えるべし著作権


著作権  著作物 ---文章、画像(絵・グラフィック(イラスト)・写真など)、映像、音声などの文化的創作物--- は、どのようなメディアに載ったものであれ、著作権が発生します。特許とは違って、申請手続きをする必要はなく、メディアに公表した時点において、著作者はそれらの知的所有権=著作権を認められます。ですから、自分のホームページを作ったら、それを公開した時点で、それの著作権を有するということになります。
ネット上の情報   ネット上の情報は、あるホームページを開いた時点で、自分のコンピュータのメモリに取り込まれるわけで、そうしたインターネットの特質上、他人のホームページ情報を、”自分のコンピュータに取り込む”のは著作権侵害にはなり得ません。逆に、もし取り込む際に(つまり新しいホームページを開くたびに)一々許可を得るような手続きをしなくてはいけないとなると、ネットサーフはかなり面倒くさい作業になり、ハイパーリンクというインターネットの特性が死んでしまいます。
   そうなると、ネット上の情報を自分のコンピュータ内のあるファイルに保存データとして取り込む ---ブラウザの「保存」コマンドをクリックして名前を付けてハードディスクにコピーする--- 行為も著作権違反とするのは難しくなります。というのは、あるホームページの情報であるHTMLコードは、同一のコンピュータの違う場所に保存されていだけであると解釈できるわけです。しかも、いずれの場合も、その情報は保存されているコンピュータ画面で利用者によって享受されるのであるから、全く問題はないと言えるのです。
   そう考えると、同じ保存でもフロッピーディスクなどの媒体に保存するとなると、少々問題が変わってきます。つまり、そうした媒体は、情報を当初合法に享受したコンピュータから外へ持ち出される可能性があるからです。また、保存するのと全く同様に簡単なのが、ホームページのハードコピーをとることです。これも、ブラウザの「印刷」コマンドをクリックさえするだけの簡単な作業です。が、ホームページ上の情報はコンピュータ画面で公表されているものなので、違うメディアにコピーするというのは危険が伴います。
教育目的   では、英語教育のためにネット上の情報を活用しようとする場合、著作権をどう考えたらよいのでしょう。答えは、その活用により著作権を持つ情報製作者の利益を損なうようなことがない限り、自分の授業のためだけに限定した純粋な教育目的であれば、著作権をあまり意識しないで情報を使ってよいということになります。その根拠は、次に示す日本の著作権法の条文にあります。
第二章 著作者の権利 / 第三節 権利の内容 / 第五款 著作権の制限
(学校その他の教育機関における複製)
第三十五条  学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
「自分の授業のためだけに限定」というのが少々厄介です。つまり、いくらよいものができたからといって、他者の著作物が含まれるものを他の先生に提供して使ってもらうというのは違法になるのです、原則論として。
複製が認められるとしたら、情報を加工して生徒に提示することはどうでしょうか? ネット上の情報はダウンロードして、それを加工できるというのが大きなメリットです。例えば、英語Tの本文のトピックに関連した内容の英文を生徒に読ませようとしたとき、その英文が生徒には難しいところがあるので、一部教員が手を加えて易しい表現に変えるというのは許されるのでしょうか? やはり答えは、原則的には大丈夫となります。
第二款 著作者人格権
(同一性保持権)
第二十条  著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。
 一 第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)又は第三十四条第一項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの

情報発信の場合   上記のように、ネット上の情報を受信して校内・教室内の英語教育に活用する場合には、あまり著作権について神経質になる必要はないのですが、情報を発信する場合には、たとえ教育の場とはいえ細心の注意を要求されます。特に、ホームページを作製したり、掲示板に投書したりする時には、著作物を不法に使用することがないように生徒を指導しなくてはなりません。ネット上のデジタル情報はごく簡単にコピーできて流用できてしまう分、余計にその使用については倫理やマナーが問われるということは強調しても強調しすぎることはありません。
   ホームページで他のURLへリンクさせる場合にも、リンク先に許諾を得るのが安全です。ネチケットと併せて、著作権の問題は、生徒に強く意識させる機会を持つべきでしょう。こと教員は(もちろん自分も含めて)著作権に関して無頓着なことが多いようなので、要注意です。
   ここでは著作権に関する議論はこれ以上しませんので、必要ならば以下のサイトでさらに勉強してください。
著作権情報センター 著作権関係法令集データベース
http://www.cric.or.jp/db/dbfront.html
日本内の著作権関係法令の全条文をデータベース化してある。英文でも見られる。
インターネット ちょさくけんQ&A
http://www2k.biglobe.ne.jp/~onda/chosaku/chosaku.htm
ホームページ作製における著作権の問題について、画像、文章、音楽など分野別にまとめられたQ&A集。具体的事例でわからないことがあったら、このサイトを見てみると似たような問題が挙げられているかもしれない。また、メールで質問を送ることもできる。
マルチメディア時代の出版と著作権
http://www.tmc.tmcnet.or.jp/kurume-u-hp/yokoi.html
南江堂ニューメディア室室長の横井信氏による論文。堅い文章だがうまくまとめられている。
Copyright Law Meets the World Wide Web
http://www.acm.org/crossroads/xrds2-2/weblaw.html
Matt Rosenberg 氏が1995年に書いた論文。わかりやすい文章で一読の価値あり。

国際法の制定へ
   1975年に発行したベルヌ条約では、知的所有権をめぐる国際的な取り決めをし、先進国のほとんどが批准している。しかしながら、その中にあっても著作権の施行や取り扱いは国によってまちまちなようです。国を越えた情報交信がクモの巣を遥かに越えた複雑なネット上で行われてる現状にあっては、一日も早い国際的な法の施行が望まれています。

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