[40] リレー小説本編スレ5 [ 返信 ]
Name:スラリン Date:2012/01/04(水) 19:34 
リレー小説本編を書き進めていくスレです。
文章の解釈に迷ったり今後の展開などで言いたいことがありましたら設定用掲示板のリレー小説議論スレへどうぞ。
設定用掲示板:http://www3.atpaint.jp/mysyn/index.htm

長くなったので、新しくスレッド立てました。
みんないっぱい書きましょう(`・ω・´)

[41] RE:リレー小説本編スレ5
Name:スラリン Date:2012/01/07(土) 02:23
「メタグロス!バレットパンチっ!」
「らいでん!迎い撃て!」
千鶴と橘平はさっそく戦闘開始のようだ。
一方、ニドクインを出した青年は3人を眺めてニカッと笑うと、自己紹介を始めた。
「始めまして、俺は戦部 和守(いくさべ かずま)。橘平の兄だ」
「兄…って、橘平!どういうことだ!!」
橘平はちらちらとこちらの様子を窺うが、メタグロスの猛攻に対処するのに精いっぱいでこちらの問いかけに答える余裕は無い。
和守はその2人の様子を見ていたが、はたと思い出したかのように司に話しかけてきた。
「ああ、君が司か!明から話は聞いてるよ!」
へ?とユメトと巡が顔を見合わせる。
2人が同時に司を見ると、彼女も、へ?という顔をしていた。
「明…?どうしてあいつの名前を?僕は、お前の事は知らないぞ?」
「俺は何でも知ってるけどな!」
次の言葉で、周囲の空気が凍りついた。
「スリーサイズは76-58-84!左上の鎖骨の所にほくろがあって、風呂で一番先に洗うのは左腕、だろ!」

お互いが、様子を見あっている。
どや顔の和守
確かに笑顔なのだが、微妙に違う表情のユメト
明らかに戸惑っている巡
そして当の張本人の司は言葉が飲み込めなかったのか、5秒ほどぱちぱちと瞬きを繰り返し、
言葉の意味が分かった次の瞬間、3人に分かるくらいの勢いで、ぶわわわわわわわわと顔が紅潮していく。

「おっ、おま、お前は、」

メイリオが後ろ足を蹴り嘶くと、たてがみから出た小さな稲妻が反応を起こし炎が巻き上がった。
炎はメイリオの体を覆うほどに大きくなってゆく。ニトロチャージの構えだ。
「つ、司さん、落ち着いて」
慌てて司をなだめようとした巡だったが、今までに見たことの無いような表情で睨まれ、怖気付いて後ずさりをした。
「メイリオ!!!」
主人の声が引き金になり、炎をまとったメイリオが走り出す。
和守は、笑みを崩さなかった。
「ニトロチャージだ!!」

「駄目だよ、司ちゃん。よく見て」
寸でのところでメイリオを止めたのは、オペラとユメトだった。
「へえ、すごいな。特性で止めたか!」
メイリオのニトロチャージの前にオペラが割って入ったのだ。
もらいびの特性のおかげで彼女は無傷だったが、ぶつかられたことに対しては少々機嫌が悪そうだ。
突然の事態に我に返った司がオペラのさらに向こう、和守の方を見ると、ニドクインは攻撃態勢ではなく、物理攻撃を倍にして返す『カウンター』の構えを取っていた。
オペラが間に入っていなかったら、確実に反撃されていただろう。あれだけ反省をしたというのに。
(頭に血がのぼりやすいのは、僕も橘平も同じだな…!)
しかし、頭に血がのぼってもしょうがないことを言われたような気がするよ?一体いつも何を話しているの?

「…明には後々説教するとして、その前に、お前に言いたいことがある」
咳払いを一つ、そして、叫んだ。
「76じゃなくて78だ!!」
「結局小せえじゃねえかよ!!」
「う、うるさいなあああっ!!」
「かずっちゃん!余計なこと言わないで!せっかく楽しくバトルしてるのにっ!!」
「ご、ごめんなさい…」

どんどん状況が混沌としていく中、ユメトは腕を上げてオペラに命令する前に、後ろを振り返った。そこには白装束のかなめの姿。
「要ちゃん!俺たちがバトルしてる間に、君は神器を取りに行くんだ!」
「…分かった」
くるりと身をひるがえし1人走ってゆく要の姿を見て和守が後を追おうとしたが、3人が立ちふさがる。
「ッ…!ニドクイン!」
橘平を千鶴にまかせ、和守は再び3人と向き合う。
今回の任務を失敗させるわけにはいかない。CCDのためにも、橘平のためにも。

-----------------------------------------
あれっ、長くなった割には進んでない。
かずまさんとハイスペ王子が友達というネタがあったので、ここで使ってしまいました。
ユメトお兄さんは、凄く動かしやすいですね…!と思ってたら、ユメトお兄さんの一人称がナチュラルに「僕」になっていました。ユメトお兄さんの性別はユメトお兄さん。

[42] RE:リレー小説本編スレ5
Name:ミンズ Date:2012/01/07(土) 09:47
慣れない白装束でリミティを抱いて、時折転びそうになりながら全力で走る。
ある程度走って追っ手がいないかと振り返ると、巫女姿の女性が息を弾ませながらついてきていた。
「あ、ごめんなさい。大丈夫?」
「ありがとうございます、大丈夫です。もうしばらく行くと神器の安置してある泉に出ます。こちらです」
女性の後について森の中を進む。
森の中は明るかった。多少の起伏はあったがよく手入れされていて歩きやすく、まるで公園のようだった。
5分歩くか歩かないかのうちに、開けた場所に出た。
澄んだ泉がきらきらと輝いていて、泉の中心に鳥居と注連縄を張り巡らせたほこらの建った小島が浮かんでいる。
泉の周囲にはいくつかベンチが設置されていたが、人の姿は見られなかった。
女性はほこらを指して言った。
「あそこに神器が安置してあります。箱に入っていますので、箱ごとお持ちください。神器を取り巻く結界は、指示をしなくてもパートナーが解除してくれます」
そう言って、袖口からモンスターボールを取り出して湖に向かって放る。
光をまとって出てきたポケモンを見て、要が思ったことを口に出す。
「赤いギャラドスだ。…もしかして、いかりのみずうみでの事件のときの?」
「はい、この子をゲットしたジョウトのトレーナーから引き取りました。自然ならざる進化を遂げたこの子が、神のお傍で心穏やかに過ごせるように、と。それからは、日頃の大小の神事用のポケモンとして活躍してくれています。この子に乗って泉をお渡りください」
見れば、ギャラドスの頭に木製の椅子が設置されていた。ツノに榊の枝がくくりつけられている。
ギャラドスは、頭を地につけて要の方を見た。
「乗っていいの?」
ギャラドスが目で頷く。
要は恐る恐るギャラドスに乗り込んだ。
途端、視界がぐんと高くなる。
「わ!」
思わず膝の上のリミティをぎゅっと抱きしめる。遠くまで森が広がっているのがよく見えた。
すぐに若干の浮遊感と共に視界が低くなって、要は小島の上に降り立った。
リミティを下ろして、一緒に鳥居をくぐる。
急に森の香りが強くなって、周囲の温度が少し下がったような気がした。心持ち、日が陰ったように感じる。要は自分が深い森の中に1人で放り出されたような錯覚を覚えた。
不安になって傍らのリミティを見、振り返ってギャラドスと向こう岸の女性の姿を確認して安心すると、歩を進めた。
数歩でほこらの周りに張り巡らされた注連縄の前に来る。
要はそっと注連縄の向こうに手を伸ばしてみた。
空間に自然な弾力を感じて優しく、でも力強く押し戻される。
不思議な刺激感が指先から体の中を走り抜けて、消えた。未知の感覚だったが、不快ではなかった。
「これが結界か…」
呟いて、リミティを見る。リミティは細かく震えていた。
「リミティ!?どうしたの?」
驚いてリミティを抱き上げようとすると、リミティは要の手から逃げた。
今まで抱き上げようとして逃げられたことなんてなかったのに、と要はショックを受けたが、それ以上にリミティが心配になった。
リミティはつつ、と結界に触れんばかりのところに行くと、くるりと要の方を振り返った。
「ん?」
要が首を傾げると、リミティも小さく首を傾げた。そして、ちょん、と尻尾の先で結界に触れる。
ぱあんと、光が弾けて、周囲一帯に降り注いだ。
眩しさに思わず目を瞑る。数秒して、そろそろと目を開けると周囲は何の変哲も無い元の景色に戻っていた。
いや、一箇所だけ様子が違った。
ほこらの扉が開いて、中に収められた小さな木箱が薄く発光していた。
木箱は要が目を開けるのを待っていたようにほこらの中から浮かび上がると、滑るように要の目の前に移動してきた。
要が手を出すと、木箱はことりと要の手の中に収まり、光るのをやめた。
いつの間にかほこらの扉も閉じていた。
リミティもいつもの様子に戻っていて、要の隣で要を見上げていた。
要は狐につままれたような気分になった。
来たときと同じようにギャラドスに乗って岸に戻る。
女性が笑顔で迎えてくれた。
ギャラドスにお礼を言って、ボールに戻す。
「この箱の中身って、割れ物?」
要が聞くと、女性は笑った。
「神のパワーの結晶と言われる宝石のようなものが入っているそうです。多少の衝撃では割れることはありませんが、大切に扱ってください。イズモタウンでの儀式まで、箱を開けてはいけませんよ」
「うん、わかった」
歩き出した要の背中に、女性が声をかける。
「急がなくていいのですか?」
「…どうせ戻っても戦力にならないし」
要はぼそりと答えて、そのままのペースで歩き続けた。
私が戻る頃には戦闘が終わっていますように。

++++++++++++++++++++++++++
王子のスリーサイズが公開されるところまで要を居させてくれてああありがとうございまああああす!!!
王子のおっぱいが増量されとる/(^o^)\

微妙にゲーム本編とリンクさせてみました。伏線ではないです。
森の中はダンジョンという感じにはなりませんでしたが、さらっと流したいのでこんな感じで。地方によってダンジョンの難易度大きく違って大丈夫だと思います。
結界の描写とか箱の中身は全地方共通でも地方ごとに違ってもどう転んでもおいしいんじゃないかと。

[43] RE:リレー小説本編スレ5
Name:日夏ゆうり Date:2012/01/08(日) 02:03
 要が儀式を終える十数分前。
 橘平は千鶴の激しい攻撃に応戦こそしていたが、心は完全に上の空だった。今までは、一旦バトルになれば、周りの音なんて全く気にかからなかったのに、先程から向こうの話が全て頭に入ってくる。お蔭様で、司のスリーサイズなんて余計な情報まで手に入れてしまうくらいには。
 向こうでは、和守が不敵な笑みを浮かべながら、ニドクインに指示を出していた。オペラ、メイリオ、ピスケスの3体を同時に相手しているところを見ると(ピスケスは庭に設けられている池で後方支援をしていた)、その腕は落ちていないどころか、更に磨きをかけたらしい。だが、橘平は、昔から自分とのバトルでもそうしてきたように、和守が相変わらず小手先で相手をしているように見えるのが、気に入らなかった。

 和守は、橘平がクチバシティを出港したあの日、見送りにすら来ていなかった。それなのに、今更現れたと思ったら、こうして自分たちの前に立ちはだかって、明らかに儀式を「邪魔」している。儀式に参加できなかったことに対する腹いせなどではないことは、橘平が一番よく分かっていた。何か他に理由があるだろうことも。
 いつもそうだ。大事なことは全て隠したがるのだ。そして、いつも自分を置き去りにして先に行く。
(俺がそんなに頼りないかよ……!!)

「ガウ!!」
 らいでんの鳴き声ではっと我に返った。が、それではもう遅かった。
 らいでんの目の前にいるメタグロスがギガインパクトを放つ。あたりが眩しく輝いて目の前が真っ白になると、直後に強力な爆風が身を包み、橘平は足をとられて吹っ飛ばされた。10メートルほど先の地面に強く叩き付けられる。
「……ッ……テェ……!」
 すぐに顔を上げると、らいでんはすんでの所で踏みとどまっていた。名を呼ぼうとしたが、それをひとつの陰が遮る。
「橘平くんさぁ、集中してないよね?」
 口元こそ緩んでいたものの、千鶴の目は笑っていなかった。
「何でかな? どうやったら本気になるのかな? かずっちゃんの弟だっていうから、とっても楽しみにしてるのに」
 その目線に狂気じみたものを感じて、橘平は身体中が凍り付いたような感覚に陥った。頭が真っ白になり、何も考えられない。

 その時、時間が一瞬止まったかのように、空気がピンと張り詰めた。
 見ると、らいでんだけでなく、オペラ、メイリオ、ピスケス、そして和守のニドクインまでもが動きを止めて空を仰いでいる。
 その様子を見て、戦闘体勢を崩した和守が千鶴に声をかけた。
「千鶴さん、任務失敗です。結界が破られました。帰還しましょう」
「え! そんなぁ。今からいいところだったのに……」
「もう十分遊んだでしょう? 続きはまた今度にしてください」
 和守はそれ以上何も言わず、儀式者達をそれぞれ一瞥すると、踵を返した。千鶴もそれに続いて駆けていった。

「橘平くん! 大丈夫!?」
 儀式者たちは皆、突然撤退した千鶴と和守をしばらく呆気に取られて見送っていたが、すぐに我に返って、パートナーをしまいつつ、橘平に駆け寄った。
「何だか、大嵐が過ぎ去ったあとみたいですね……」
 ギガインパクトでぽっかりと空いた穴を見て、巡が何ともなしに呟いた。
 丁度そのタイミングで、要も儀式から戻ってきた。大きな木箱を大事そうに抱えながら、予想以上の惨事に顔をしかめる。
「これ……どうしたの?」
 要は、ようやくらいでんをボールに戻した橘平の頬が、派手に擦り剥けていることに気付いた。
「ねえ、大丈夫……」
「うるせェ!!」
 突然大声を出されて、要は思わず木箱を落とした。司がそれを拾い、ユメトが間に入ろうとしたが、それよりも早く橘平が口を開いた。
「お前、あの時何でリミティを戦わせなかった……?」
「えっ」
「見えてたんだよ、出すのためらっただろ。しかも結局出さなかった」
「……」
「お前、戦う気ねえだろ」
 理不尽につっかかっていることくらい橘平も良く分かっていた。だが、そうしていないといられないくらい、苛立ちは抑えきれなかった。

-----------------------------------------------

王子のスリーサイズは余計な情報じゃありません!!!

随分長くなってしまいましたが、かずま登場に対するきっぺの思いと、ちづかず退場と、かなめたんの気持ちを刺激することの3点を強引にでも成し遂げたかったのでついつい無理しちゃいました。
結界が破られる時に、パートナー達はみんなそれを感じ取ったりできないかな、と思って上記の描写を入れたのですが、問題あったら言って下さい!

[44] RE:リレー小説本編スレ5
Name:ミンズ Date:2012/01/09(月) 10:09
「……」
つっかかる橘平に、要はただ沈黙を返した。
ちら、と橘平を見て、すぐ目を逸らす。
「おい!」
「…今、言葉探してるから」
「は?」
再び沈黙が降りる。
橘平はイライラして右の足に体重を移し、左の足に体重を移し、また右の足に体重を移した。
「無い」
「あ゛!?」
「反論する言葉が無いって言ってるの」
「何だよそれ!?何か言えよ!」
「反論されたかったの?」
今度は橘平が言葉に詰まる。
見かねたユメトが間に割って入った。
「まあまあ、皆無事だったし神器も回収できたし、今回はこれで良かったんじゃない?いつまでもその格好でいるのも窮屈だから、要ちゃんは着替えておいでよ。今度は要ちゃんも戦おうね」
要は目を合わせずに小さく頷くと、黙ったまま女性の方を見た。
女性が苦笑しながら促す。
「こちらへどうぞ」
建物の中に入っていく要の背中を一睨みして、橘平はそっぽを向いた。
ユメトが皆に向かって言う。
「パートナーの回復をしたいね。今日はポケモンセンターに泊まって、明日出発しようか。ポケモンセンターにパートナーを預けたら、何かおいしいもの食べに行こう」
「そういえば、丁度昼飯時ですね」
「一昨日からまともな食事摂ってなかったしな」
巡と司が賛成する。橘平は不機嫌そうに下を向いて、足先で土を蹴るようにして掘っていた。
要が出てくるのを待って、女性の見送りを受けて一行は神社を後にした。

「……」
「…………」
場は気まずい沈黙に満ちていた。
ポケモンセンターにパートナーを預け、適当な店に入って、それぞれが料理を選んで注文するところまでは良かった。
しかし料理が出てくるまで間が持たなかった。
「…巡はシーフードスパゲッティだったか。シーフード、好きなのか?」
「はい…」
「そうか……」
沈黙。
「あ、そうだ。何か占ってみない?」
ユメトがタロットカードを取り出すと、司と巡がほっとしたように身を乗り出した。橘平は窓の外を睨み、要は下を向いて黙っている。
「じゃあ、今後の儀式の行方について占ってくれないか」
「いいよ。俺も簡単にしか占ったことなかったから丁度いいや」
ユメトはタロットカードを手早くシャッフルして、テーブルに並べた。
1枚ずつカードを表にしていく。
そこに店員から声がかかった。
「お待たせしました。マルゲリータピザとシーフードスパゲッティになります」
ユメトが慌ててカードをしまった。受け取った料理を司と巡に回す。
「先に食べてて。冷めないうちにね」
「悪いな」
「すみません」
2人は料理を食べ始めた。
手持ち無沙汰になったユメトは、先にデザートを選んでおこうとメニューを開く。
再び沈黙が流れた。
「お待たせしました。日替わりランチセット、ハンバーグ定食、ミートドリアになります」
料理を受け取る。ユメトのランチセットのメインの皿には、エビフライが2つと、クリームコロッケが3つ載っていた。
「あげるよ」
そう言って、橘平と要の皿にコロッケを1つずつ分ける。
要は無言で自分のドリアを2すくい、ユメトの皿に移した。そして、コロッケにかぶりつく。
「くれるの?ありがとう。…おいしい?」
要はコロッケを頬張ったまま頷いた。どうやら機嫌が悪いわけではないようだ。
橘平に視線を移すと、橘平は突然の好意に困惑していた。
ユメトの視線に気付くと、途端に眉を吊り上げる。
「いらねえよ!」
橘平はフォークでコロッケを刺すと、ユメトの皿に突き返した。
司が咎めるような目で橘平を見る。
「折角の好意なんだから、もらっておいたらどうだ?」
「うるせえ!」
こちらの機嫌はまだ直りそうもないようだった。

+++++++++++++++++++++++++++
変なところで切ってすみませんorz
ハルくんがどうやったら落ち着くかわからなかった。
周りはかずまさんのことに触れたいけど触れていいものかどうか判断つきかねている、そんな感じ。

かなめが無言になったときのキャラがはやととかぶる/(^o^)\
はやとはこんな感じが常態です。

[45] RE:リレー小説本編スレ5
Name:鈴木ニコ Date:2012/01/12(木) 03:27
一難去ってまた一難。いや、一難が去る前にまた一難。いや、一難どころかニ難も三難も起きてしまったが、神器の回収はなんとか成功し、アスクレタウンでの儀式は完了したことになる。

「次の町は…ここ、エシュタウンですね」
食後のコーヒーを待ちながら、五人は今後の予定を決めることにした。ハンバーグ定食を乱暴に食べ終えて(付け合わせのピーマンが残っている)席を立とうとした橘平を、司が咎めるように、ユメトが宥めるようにして止めた。次の町では、橘平が儀式を行うのだ。
「アスクレからは結構距離があるね…出発の前に、きちんと準備をしておかないと」
「そうですね」
店員がコーヒーを五つ運んできた。
「これ飲んだら、買出しに行こっか。橘平くん、ミルクとお砂糖入れるよ?」
橘平も、今度はユメトの好意を素直に受け入れた。

「俺はスーパーへ行くよ。食べ物とか用意しなきゃね。司ちゃんたちはどうする?」
欲しいものがあるなら、ついでに買ってくるから休んでいてもいいよ。でも、自分で買いたいものもあるよね?ユメトの気遣いに、司は小さく頷いて要のほうを見やる。
「そうだね…僕は、要と行こうかな。食糧調達、ありがとう。お願いするよ」
「まかせて。 でも、今はパートナーを預けているから、女の子だけだと心配かな」
大丈夫だよ、と言おうとしたところで、面倒な相手に二度も絡まれたことを思い出す。絡まれたのは橘平だが。
「俺、ついて行ってもいいですか?邪魔だったら、店の外で待っていますから」
ふたりの様子を見て、手を挙げたのは巡だ。ユメトも賛成のようだ。司はすこし考えて、要が特にいやがっていないことを確認すると、
「ありがとう。助かるよ」
「いえ。 あの、ユメトさん。すみません。そちらも人手がほしかったですよね」
「こっちは大丈夫。橘平くんに手伝ってもらうからね」
「え」
行こっか、橘平くん。
橘平が文句を言う前に、ユメトは彼の腕を引っ張って(意外と力強く)歩き出した。

ようやく聞こえてきた橘平の怒鳴り声と、一瞬だけ振り返ったユメトのウィンクを見送って、司たちもゆっくり歩き出す。
「ユメトには、助けてもらってばかりだな」

--------------------------------------------------
ピーマンとブラックコーヒーが苦手なきっぺちゃんかわいいね…
この後は、きっぺちゃんの御機嫌取りをするユメトお兄さんのシーンに飛んでも良いし、女の子+荷物持ちのシーンに飛んでも良いです。
アスクレタウンからエシュタウンって遠いのかな…

[46] RE:リレー小説本編スレ5
Name:如月ユイナ Date:2012/01/12(木) 20:01
司のセリフに見送られて町に出たユメトと橘平は、完全にユメトの主導でスーパーへの道を歩いていた。

「ねえ、橘平くん。甘いもの好き?」
「しッ、知らねェよ!!離せ!!!」
「だって離したら橘平くんどっか行っちゃうでしょ?」
相変わらずユメトに腕を引かれているのが不満な様子の橘平がユメトに噛み付くが、ユメトは全く悪びれもなくニコニコと笑った。言葉に詰まりながらも鋭い目付きでユメトを睨みつけていた橘平も、あまりにもユメトが気にしていない様子だったので次第に毒気を抜かれてきた。それでも尚不機嫌そうな顔をしているのは、今まで橘平が反抗的な態度をしてきたのが原因だろう。
「あ、見てあのお店。」
「あァ?」
ユメトの言葉でユメトの指差す先を見た橘平は、一瞬真面目に観察してからユメトの方に視線を戻した。
「……なんだよあれ。」
「ケーキ屋さんだよ。いいなあ、かわいい。」
ユメトがかわいいと称すケーキ屋は、確かにセンスが良かった。あまりにもお洒落な外装で、ユメトに言われるまで橘平はケーキ屋だと分からなかったくらいだ。だが、だからと言って橘平は特に何も思わない。外装の良さよりは、中身がケーキ屋だという方がまだ何か思うことはあるというものだ。
「俺たち、結局デザート食べなかったよね。」
「あ?……ああ、そういえば。」
ユメトに言われるまで忘れていたが、確かに橘平たちは食後にコーヒーこそ飲んだもののデザートは結局頼まなかった。その前に地図を開いてエシュタウンの場所を確認してしまったので、そのまま予定を決めてなんとなく店から出てきてしまったのだ。
「帰りにまたここ通って、ケーキ買って帰ろっか。きっとみんな喜ぶよ。」
「……知らねェ。」
そう言って顔を背けた橘平だが、ほんの少し嬉しそうなのがユメトには分かった。その様子が微笑ましかったので、思わずくすりと笑うと橘平に睨まれる。なので、ユメトはいつもの笑顔のまま首を傾げておいた。橘平に舌打ちをされたが、正直気にならなかった。

****

しばらくそんな他愛もない話をして(正確にはユメトがずっと話しかけて)歩いていた二人だが、そろそろスーパーに着くといった頃に橘平が口を開いた。
「……なんで。」
「ん?」
「なんで訊かねェんだよ……。」
橘平はユメトと目こそ合わさないが、その声には真剣さ、そしてそれ以上に悲痛な思いが滲んでいた。何をと言わずとも何の話か分かったユメトは、相変わらず微笑みながら答える。
「橘平くんがね、」
「……?」
「橘平くんが、言ってくれるの待ってたんだよ。」
言いながら、ユメトが眉尻を下げる。それから少し申し訳なさそうに言った。
「俺さ、橘平くんのお兄さんのこと、もちろん聞きたかったんだけど。どうやって訊いたらいいか分からないし、本当に訊いていいのかも分からなかったから、橘平くんが言ってくれるの待ってたんだ。橘平くんが俺に話してもいいって思って言ってくれたら、俺はちゃんと聞こうと思って。」
ユメトが橘平の腕を引いていた手の力を少し緩める。橘平が伏せていた瞳をユメトに向けると、視線と視線が合わさった。
「俺、聞いてもいいかな?」


++++++++++++++++++++
ユメトときっぺちゃんのターン!!
この後きっぺちゃんにかずまさんのお話をしてもらおうと思ったのだけど、視点が変わって女の子組(+ハイスペック荷物持ち師匠)のターンに入ってもいいし、話を聞くところは飛ばして聞いたっていうことにしてしまってもいいかもしれない。
次の方にお任せします!

[47] RE:リレー小説本編スレ5
Name:日夏ゆうり Date:2012/01/14(土) 03:22
 ユメトの穏やかな問いかけに、橘平は少し考える素振りを見せる。それから一拍置いて、ぽつりぽつりと、零し始めた。
「……この儀式、本当はよ。俺じゃなくて兄貴が来るはずだった」
「お兄さんが?」
「ああ。でも、兄貴は成人しちまったから儀式に参加できなかった。未成年じゃねェといけねえって知らなかったんだってよ。兄貴も親父もずっと儀式に必死で、俺には見向きもしなかったくせに、そういう大事なとこは抜けてんのな」
 橘平は苦笑いしたが、その面影はどこか寂しそうだった。
「じゃあ、お兄さんは何であんなことを……」
「……さあな」
 儀式にそこまで入れ込んでいた人間が、なぜその儀式を「邪魔」するような行動を取っているのか。橘平が知っているはずもなかったが、戦いの最中で和守が垣間見せた真剣な表情を思い出して、ユメトはつい、その疑問を口にした。
「突然こんな意味の分かんねえ儀式に放り込まれてよ。それだけで頭に来るのに、何で兄貴が……」
 橘平はぐっと下唇を噛む。
「儀式に参加出来なかった腹いせにあんなことやってんじゃねェってのは分かってる。でもだったら何でなんだ。兄貴はいつもそうだ。俺には何も言わねえで……」
 橘平は誰に言う訳でもなく、ぼそっと吐き捨てた。
「俺のこと置き去りにしてくんだ」
 ユメトの脳裏に自分の家族の陰がふっと過ぎる。瞬間、自分がそう言われたように思えて、ユメトはつい声を荒げた。
「違うよ、橘平くん!」
 橘平は少し驚いたようにユメトの顔を見つめて瞬きしていたが、直ぐに元の不機嫌な表情に戻った。
「何でお前がそんなこと分かんだよ」
 眉を顰めて表情を伺っている橘平を見て、ユメトはハッと我に返る。
「……大声出してゴメン。でも、それはきっと違うよ」
「……」

 橘平は目線を逸らして黙り込んでいたが、少しの沈黙を置いて、おもむろに口を開いた。
「痛ェ」
「えっ?」
「お前さっきから強く握りすぎなんだよ。放せ。もうどこにも行かねえから」
 ユメトは指摘されて、自分が随分強く橘平の腕を掴んでいることに気付いた。「ゴメン」と一言、ゆっくりとその手を放す。
「でもまあ、何だ」
 橘平はばつが悪そうに、ユメトの顔を見ないまま、口を開いた。
「お前に話したら、大分落ち着いた。ケーキ買うんだろ? 早く買い出し終わらせようぜ」
 その言葉に、橘平を救うはずが、何だか逆に救われたような気になって、ユメトは苦笑した。スーパーの方に歩き出した橘平の背中を追う。
「待って、橘平くん。一緒に行こう?」

-----------------------------------------------

兄と弟。
きっぺが良く喋ってますが、きっとユメトさん効果です。

[48] RE:リレー小説本編スレ5
Name:日夏ゆうり Date:2012/01/14(土) 03:23
このスレはここでおしまいです!
次スレへどうぞー!

もどる