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リレー小説本編スレ3
[ 返信 ]
Name:ミンズ Date:2011/11/22(火) 06:33
リレー小説本編を書き進めていくスレです。
文章の解釈に迷ったり今後の展開などで言いたいことがありましたら設定用掲示板のリレー小説議論スレへどうぞ。
設定用掲示板:
http://www3.atpaint.jp/mysyn/index.htm
スレが長くなったなと思ったらどんどん次スレ立てちゃってね…お願いよ……
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RE:リレー小説本編スレ3
Name:鈴木ニコ Date:2011/11/25(金) 00:14
ぶるるるるるる…
ボールから飛び出したメイリオが、興奮気味に唸る。前脚は土を蹴り、ぎざぎざの鬣は激しく発光していた。戦闘態勢だ。
「メイリオ!僕が指示するまで攻撃しないでくれ。威嚇だけでいい」
メイリオは司に従順だ。本当は、ボールから出た瞬間にムウマたちへ飛びかかる勢いだったが、なんとか踏みとどまっている。しかし、それも相手の動き次第だ。
司にとって幸いなことに、メイリオの威嚇に怯んだムウマたちは、技の発動を止めてゆっくりと後退していく。そうだ。そのまま退散してくれ…!
きゅうううううううん!!!
ムウマたちの後方から、切迫した声が聞こえた。全員がそちらを振り返る。
「オペラ!? …と、要ちゃん?」
それは、ユメトの危機を察知して公園を飛び出したものの、意外と俊足であった要に追いつかれて困惑しているオペラの鳴き声、もとい泣き声だった。
「つかまえた。オペラちゃん、戻ってキャンプファイヤーの続きをしよう?私、オペラちゃんの炎を囲んで朝まで踊り狂いたい」
「要ちゃん、フォークダンスしたかったの?」
いつの間にか仲良しさんだね。ユメトはにこにこ笑っているが、おそらくお宅のパートナーちゃんが誘われているのは、文化祭の最後を締めくくるような青春のそれじゃないです。はやく助けてあげて!
いや、はやく助けるべきなのはオペラだけではなく、
「! 要ちゃん!ムウマたちが!」
立ち直りがはやかったのはムウマたちの方だ。メイリオの注意が自分たちから逸れたところを見計らって、今度は後方の要たちに襲いかかる。要に抱きつかれたオペラとリミティが反応するが、要は二匹を庇うようにさらにきつく抱き寄せた。
「馬鹿!はやく逃げろ!」
司の合図と同時にメイリオが地を蹴るが、だめだ、間に合わない ――!
「 あれっ? 」
最初に間の抜けた声を上げたのは誰だったか。
襲われた要たちも、襲いかかったムウマたちも動かない。やがてメイリオが駆けつけるが、彼もまた長い首を傾げている。あれっ?
「か、要…? どうしたんだ?」
「ムウマたちの様子がおかしい」
目前で動かなくなったムウマの顔を二度見して、
「目がハートになってる」
「司ちゃん。彼だよ」
ユメトが大きく手を振る。川の対岸に向けてだった。視線を移すと、青い光がゆらゆらと動いている。ついに本物の人魂が出たと司は息を呑んだが、目を凝らすと、その奥にふたつの人影が見えた。ちゃんと脚もついている。
「巡! …と、橘平もきてくれたのか」
「ということは、あの青い光は巡くんのピスケスだね。わあ、本当に綺麗」
ユメトが感嘆すると、オペラの炎がめらめらと揺れる。さすがの要も手を離した。
「近くに川があってよかったです。 ああ、でも、」
手をメガホンの形にして、巡が対岸のユメトたちに声を掛ける。一部のムウマたちが、ふらふらと動き出すのが見えた。
「メロメロは異性にしか効きません」
「いや、充分だよ。ありがとう! 要ちゃんも、オペラを庇ってくれてありがとね」
巡と要に笑いかけた後、オペラに目配せをする。メイリオとピスケスに負けていられない。今度は自分がユメトにいいところを見せる番だと、オペラは目元を凛々しくした(表面上はユメトにしかわからない程度の僅かな変化だ)。
「うん。今度は俺たちが皆を守るね」
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かなめたんたちが合流するのはもうすこし後でもいいかなと思ったのですが、皆のポケモンの技構成わからないや\(^o^)/ということで、ピスケスに出てきてもらいました。そういえば水辺だったので。しかし、メロメロってどうなんだろ…
次はユメトお兄さんとオペラちゃんの出番かな…?
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RE:リレー小説本編スレ3
Name:如月ユイナ Date:2011/11/25(金) 19:29
「オペラ!」
ユメトがオペラに呼びかけると、オペラがきゅぅん!とやる気を表す一鳴きをしてから、身を一回転させた。その際に彼女の体で燃えている青白い炎から現れた、また違った輝きの光がムウマ達の周りを取り囲む。美しくもどこか禍々しいその光は、見る間にムウマ達を混乱させた。
「あやしいひかりか…。」
メイリオを自分のもとに来させながら、司がムウマ達の自由を奪った技の名前を呟く。どうやら今回はメイリオの出番は無くなったようだ。メロメロとあやしいひかりによってこちらを攻撃できる状況でなくなったムウマ達を見ながら、司は胸をなで下ろした。
「司ちゃん、ムウマ達の心配をしてたでしょう?」
技を出してから自分のもとに飛んできたオペラを抱き寄せながら、ユメトが司に振り返って微笑んだ。それを聞いて、司はユメトにメイリオを出す時に戸惑った理由を感づかれていたことに気がつく。静かに頷いた司に、ユメトは嬉しそうに笑った。
「ふふ。司ちゃんのそういう優しいところ、俺はすごく好きだな。」
穏やかな声音が響く川の此方側には、もうムウマ達に襲われそうになっていたという緊迫した空気はなくなっていた。
一方対岸では、一連の流れを見ていた橘平が腑に落ちない顔をしていた。
「…分かんねェな。」
「何がですか?」
巡に呟きを拾われるが、返事もせずにあらぬ方向を向く。ただ心のなかでは、分からないともう一度呟いた。
初対面の時から早く儀式を終えて帰りたいばかりでまともな挨拶もしなかった橘平だが、各自への第一印象くらいはある。ただこの面倒な儀式を早く終わらせることだけを考えていた橘平は他の儀式者達にさして興味はなかったが、バトルステージでついた癖で儀式者のポケモンたちについての分析は無意識に行なっていた。
その時に出した橘平の結論では、オペラは特殊のフルアタッカー。あやしいひかりを繰り出したオペラに、自分の読みが外れたのだろうかと一瞬思いもしたが、バトルステージで戦ってきたことでついたこの力にはそれなりに自信がある。
本当に自分の読みが外れていないのなら、ここでオペラは何故あやしいひかりを出したのか。オペラとユメトにとっては、ここでゴースト技でも使って一掃したほうが早く、且つ万が一混乱が解けて再び襲われる危険だってなくなるだろうに。
「…分かんねェ。」
橘平の面倒くさそうな呟きが、闇に溶けた。
++++++++++++++
きっぺちゃんのくだりすごい私の妄想なのでこれはちょっと…ってなったら言ってください!
多分旅を続けたらきっぺちゃんにも分かるようになるんだよ。いい旦那だから。
ところでパートナーの技って4つ縛りだったりしますか?ここじゃなくて設定板で訊いたほうがいいのだろうか?
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RE:リレー小説本編スレ3
Name:日夏ゆうり Date:2011/11/27(日) 01:00
結局、ムウマ達をこれ以上刺激することを防ぐため、モモンを諦めることで同意した一行は、元の公園に戻り、一晩を明かした。皆が皆、空腹で安眠など望んでいなかったが、長い船旅と夜中のムウマ騒ぎによる疲れで、意外にも全員、ゆっくりと眠れたようであった。ただ、司は、やはり最後まで白目を剥いたドンファンが気になって仕方がなかった。
ククルタウンからアスクレタウンまでの道のりは、高低差こそあるものの、若い彼らの足なら、今日中にも着くはずだ。
前方に司、ユメト、巡、その直ぐ後ろに要、少し離れて橘平、という昨日と同じ並びで、一行は他愛も無い会話に花を咲かせながら、順調に歩を進めていた。
「ここを下ったらアスクレタウンです」
日が傾き始めた頃、地図を広げていた巡が告げた。反応に大小はあれど、一同に喜びの色が広がる。
「アスクレタウンはジョウト地方の神器を収めた町だったな」
「じゃあ、最初は要ちゃんの出番だね」
「……まあ」
ユメトが笑いかけても、要は生返事するだけだ。要の反応は、いつもの無関心なそれと大して変わりないようにも思えたが、ユメトはそこに潜む違和感を見逃さなかった。ただ、その違和感の正体が何であるかを知るのは、後のことであったが。
「着いた!」
それからしばらくしないうちに、一行はアスクレタウンに到着した。
アスクレタウンはログハウス様の建築物が連なる、緑豊かでのどかな情景が印象的な町である。流行病を克服したという伝説があるからか、医療機関が充実しており、治療、及び静養に訪れる人が多い。また、港町であるククルタウンが近いため、海の幸、山の幸の両者が楽しめる食文化に恵まれた町としても有名だ。
「まずは神器を司る一族に挨拶しなければな」
司の言葉に、橘平があからさまに嫌な顔をした。何せもう夕方だったし、昨晩から何も口に入れていない。俺は腹が減った、とでも言いたげな顔である。
正直なところ、皆同じ思いだったに違いない。しかしながら、真面目な司のこと、まずは儀式の使命を達成せねばという思いが空腹を上回っていた。
少なくても理性的には。
ぐう。
司はあっ、と自分の腹を押さえると、途端に頬を赤らめた。次の瞬間、それを見た一同は笑っていた――要は少し驚いたように、ユメトは優しく、巡は困ったように、橘平はにやっと。
「やはり、まずは食事だな」
この旅で初めて、一同の心がひとつになった瞬間だった。
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王子動かしやすくて好きよ☆
気付くとよく王子を動かしてる気がするんですが気のせいでしょうか。
かなめたん逃亡イベントの伏線もちらっと入れてみました。
ユメトさんは鋭いから気が付きそうだなあと。
師匠は安定の地図係。
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RE:リレー小説本編スレ3
Name:ミンズ Date:2011/11/27(日) 11:52
食事は一番最初に見つけた店で取ろう、と満場一致で決定した。
足早に歩きながら、辺りを見回して店を探す。橘平も早く食事が取りたいのだろう、司たちのすぐ後ろまで来てきょろきょろしていた。
すぐに一軒の店が見つかり、我先にと駆け寄る。…が、開いていなかった。
橘平の顔がみるみる凶悪になり、他の4人も残念そうに肩を落とす。
「仕方ない。他を探そう」
次の店もすぐに見つかった。しかし、閉まっていた。
次の店も、その次の店も。
食文化が豊かな町なだけあって、店の数は多いようだ。だが、どの店も閉まっている。
「おかしいね。一斉に休業日ってことはまずないだろうし」
ユメトが皆の疑問を口に出す。うつむいて不穏な空気を纏い始めた橘平を除いた3人が同意した。
そこに、店の脇の細い路地から人が出てきた。どうやら店員のようだ。
「すみません、この店の方ですか?」
司が声をかける。
「はい。申し訳ありませんが本日は休業しております」
店員が答える。
「この町のレストランが一斉に休業しているようなんですが、何か理由が?」
「この町の飲食店では、各店が交代でククルタウンに食材を仕入れに行くことになっているんです。ところが今日は、当番でククルタウンに食材を仕入れに行った者が帰って来なくなりまして。現在捜索隊を派遣して探しているところです」
それを聞いて、橘平ががばっと顔を上げた。
「ムウマだ。ムウマたちに襲われてるんだ」
「何だって?」
ムウマの問題は終わったものと思っていた司が眉をしかめる。
「毎日あの森を通っている人間がどうして今日に限ってムウマに襲われるんだ?縄張りを侵したわけでもないだろうに」
「俺たちにいいようにあしらわれた腹いせだろ!力関係をはっきりさせておかねぇからこんなことになるんだ!」
「あのときムウマたちを攻撃しておけば良かったっていうのか?…ちょっと!」
司の反論も聞かず、橘平は駆け出した。
それを追って、一同も駆け出す。
後には、わけがわからないという顔をしている店員だけが残された。
+++++++++++++++++++++++
お腹がすいて頭に血が上っているハルくんが書きたかった。
ハルくんは自分達のせいでレストラン関係者が襲われていると判断したら動かずにはいられないだろうと思ったのですが違ったらすみません;
本当にムウマたちの仕業なのかそうではないのかは次の方にお任せです!
逃亡イベント伏線ありがとうございます。フェロモンの地図係がはまり役すぎるw
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RE:リレー小説本編スレ3
Name:如月ユイナ Date:2011/11/27(日) 15:51
「今日の任務、つまんない。」
アスクレタウンで橘平が駆け出してからいくらか経った頃、ククルタウンへ繋がる道の途中にある林道で一人の青年が呟いた。派手な蛍光ピンクの髪に、服まで目立つ色で固めた長身の彼は木の上に腰掛けて、眼下の喧騒を退屈そうに眺めている。
「どれがストーム団か分かんないし。制服着てればいいのに。」
愚痴をこぼしながら、口の中に飴を二個放り込む。だがそれも噛み砕いてしまって、すぐに新しい飴の袋の封を切った。
今回彼が任されている仕事は、一般市民に紛れて隠密行動を担当しているストーム団を足止めし、あわよくば捕えることだ。彼の組織が独自のルートで仕入れた情報によると、アスクレタウンからククルタウンへ仕入れを行なっているものの中にストーム団に属するものが紛れており、仕入れの際にククルタウンが港町であることをいいことに、そこから違法な物品の輸出入を行なっているらしい。つまり、それを阻止してできれば元を断てということである。そんな任務内容を頭の中で反芻しながら、彼はつまんない、ともう一度声に出した。
この任務を受けて、彼は自分が作戦を遂行するのではなくあえて他の力を借りた。近場にやたら気の立ったムウマの群れがいたので、そそのかして仕入れに向かう一行にけしかけたのだ。その時はナイスアイディアだと思ったのだが、自分が見ているだけというのは思っているよりも暇で、楽しくなかった。今からでもメタグロスに地震でもさせようかとボールを弄びながら飴を口に放り込む。その時だった。
「おい、大丈夫かよ!?」
ムウマに襲われて既に満身創痍になりかかっていた仕入れの一行に、人が駆け寄ったのだ。彼はその赤紫の髪をした少年に視線を注いだ。それから、にやっと笑う。
「似てる!」
その少年―――戦部橘平を見てすっかり楽しい気分になってきた青年は、今まで腰掛けていた木から飛び降りて少年に声をかけた。
「橘平くん、遊ぼ!」
***
橘平くん、遊ぼ!
そう声をかけられた当の本人は、いきなり上から降ってきた人物の登場に驚いた顔をした後、怪訝そうに眉を潜めた。
「あんた誰だよ。」
自分の名前を知っているということは知り合いだろうかと一瞬考えたが、この派手な外見は一度見たら忘れそうになかった。不可解で怪しい登場に、目元を鋭くさせて不審者を睨む。だが睨まれた相手は全く気にしたそぶりを見せずに、楽しそうなまま答えた。
「千鶴だよ!神崎千鶴(かんざき ちづる)。」
名乗られたが、やはり橘平には覚えがない。いよいよ怪しくなってきた目の前の青年、千鶴に、橘平は警戒心を剥き出しで噛み付いた。
「俺はてめえを知らない。」
「うん、でもおれは知ってる。」
そう言ってボールを構えた千鶴に、橘平もらいでんの入ったボールに手を掛ける。
「やっぱり今日の任務は楽しかったみたい!」
***
全力で走って橘平に追いついた司たちが見たのは、ムウマに襲われてボロボロになった仕入れの一行と、その横でメタグロスを出して楽しそうに笑っている謎の青年を迎え撃つ橘平の姿だった。
+++++++
そろそろ敵組織出してもいいかなって!思って!!
早かったら書きなおすので言ってやってくださいv(´∀`*v)
私の中でのキングオブザ動かしやすいキャラは間違いなくきっぺちゃん。
かずまさん経由で千鶴がきっぺちゃんを知ってることにしてしまいましたが、かずまさんが千鶴にきっぺちゃんの話してなさそうならここも修正するので教えてください。
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RE:リレー小説本編スレ3
Name:日夏ゆうり Date:2011/11/29(火) 01:35
「頼むぞ、らいでん」
橘平は手元のモンスターボールに向かって呟くと、それを宙高く投げ上げた。次の瞬間、ボールから眩い光の粒子が溢れ出し、中に収まっていたポケモン――ニドキングの姿を形作った。
「グォオオオッ!!」
らいでんと呼ばれたニドキングが咆哮を上げると、大気がびりびりと震える。張り詰めた緊張感にそぐわない笑顔で、千鶴は、嬉しそうにニドキングを眺めた。
「へぇ、橘平くんはニドキング使うんだぁ」
対する橘平はにこりともせず、相変わらず鋭い視線をぶつけている。
「いいから遊ぶんだろ? とっとと始めようぜ」
「うん!」
千鶴の瞳がぎらりと輝いた。
「メタグロス、コメットパンチっ!」
「らいでん! ほのおのパンチで迎え撃て!」
紫と青の巨体が唸りを上げてぶつかり合う。
訳の分からないまま、仕入れの一行を介抱しながらその様子を見ていた一同だったが、司がはっとしたように呟いた。
「ニドキング使い……戦部……そうか、あの戦部橘平か!」
「橘平くんがどうかした?」
司の言葉を受けて、ユメトが問う。巡と要も司の方に向き直った。
「ああ、イッシュにいた頃、良くバトルトレインに参加していたんだけれど。そこで何度か橘平の名前を耳にしたことがあったのを思い出したんだ。ジョウトのバトルステージに、最近腕を上げてるトレーナーがいるって」
良くある名前ではないはずなのに、どこかで聞いたことがある気がしたのは、そういうことだったのだ。橘平の切れのある指示も、状況変化に対する反射神経の良さも、バトルステージに結びつければ全て納得がいく。
実際このバトル、らいでんの方が優勢であるように見えた。もっとも、千鶴は相変わらず不気味な笑顔を浮かべており、目に見えているその情勢が正しいものであるかどうかは判断できかねたが。
そしてもうひとつ、気がかりなことがあった。
先ほどからバトルは苛烈さを増しており、らいでんとメタグロスの巨体の押し合いにより、狭い林道に生えた木は、軒並みめきめきと倒されていた。
「これ……このままだとまずいですよね」
どうやら巡も同じことを考えていたらしい。この調子で戦いが続けば、林道を破壊し尽くすばかりか、仕入れの一行を含めた一同にも被害が及びかねない。
そう思った次の瞬間、橘平が叫んだ。
「らいでん! じしんで決めろッ!」
「じしんだって!?」
ただでさえ荒れている林道に、これ以上負荷を加えたら……大惨事になるのは目に見えていた。
「橘平! じしんはダメだ! やめろっ!」
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らいでんのハグを書きたかったけど、ちょっとそんなシーンではなかったのでまた今度(笑)
王子がきっぺのことを噂で知ってた風な口調にしてしまいましたが、問題ありましたら言って下さい!
あとあとムウマ達は退散済みで良かったのかな?
しかしバトル描写難しい……
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RE:リレー小説本編スレ3
Name:如月ユイナ Date:2011/12/01(木) 23:44
司の叫びを聞いた橘平が、一瞬動きを止める。それに釣られるかのようにらいでんにも隙ができた。その一瞬を逃さなかった千鶴が、不気味な笑みを更に歪ませて声を張り上げる。
「メタグロス!」
次の瞬間、心得たとばかりに千鶴のメタグロスがじしんを放った。
***
「な…」
見るも無残に変わり果てた林道の中心で、橘平が目を見開く。木々はなぎ倒され、地面は割れ、何より相棒のらいでんが、倒れていた。千鶴に負けた証拠であった。
予想していなかった展開に、橘平が言葉を失う。この戦闘は負ける流れではなかった。にわかには信じ難い結末に固まる橘平に、千鶴が笑いかける。
「駄目だよ橘平くん、ころす気でやらないと。」
表面上の笑顔は穏やかにはなっていたが、その言葉には狂気が滲んでいた。それから橘平より後方の司達に目をやって、笑顔のまま話しかける。
「足引っ張るの、上手だね。」
「…っ!」
見かけだけで言えば全く悪意の無さそうな笑みではあったが、その言葉は確実に人の心を抉った。千鶴は一瞬辛そうに顔を歪めた司を小首を傾げて少し眺めてから、興味が削がれたのか視線を橘平に戻して適当に続ける。
「まあいいや!今度は邪魔のないとこで本気でやろ?」
そう言ってから千鶴が司達の方へ歩み寄ったので、放心していた橘平も流石にはっとして駆け寄ろうとしたが、千鶴は司達を素通りしてすぐ側の仕入れの一行の前でしゃがみこんだ。ムウマに襲われ、メタグロスの地震に巻き込まれた踏んだり蹴ったりの彼らは重傷の者もおり座り込んでいたので、千鶴がしゃがみこんだことによってやっと彼と視線が合うことになる。
「こんだけ近くで見ても分かんないねー。」
びくびくと震える一行のうちの一人の頭をまるで物でも扱うように掴んで顔を覗き込んだ千鶴が面倒くさそうに言ったが、次の瞬間千鶴の手はある人物によってパシっと派手な音を立てて払われた。
千鶴の手を払ったのは要だった。実際に手を払われた千鶴も不思議そうではあったが、それ以上に彼女がそういうキャラではないと思い込んでいた他の儀式者の4人もぎょっとした。
「なに?」
「何じゃない。かわいい女の子をそんな風に扱うなんて許されると思ってるの?」
そう要に睨まれて千鶴はもう一度、今度は頭を掴まないで先ほどと同じ人物の顔を首を傾げながら覗き込んだ。確かに女性だった。それを一瞥した要が、ドスの利いた声で続ける。
「いくらポケモンの趣味がいいからって許されることと許されないことがある。」
「…ごめんなさい?」
わけも分からず謝った千鶴に更に続けようと要が口を開いたが、言葉を発する前に千鶴が唐突に嬉しそうに何か喋りだした。
「うん!うん…うん?ちゃんと頑張ったよ。ううん、うん…」
突然のことに要も一瞬面食らったような顔をしたが、よく見ると頭につけているインカムで誰かと会話をしているようだった。今まで目の前の要と話していたにも関わらず、もう千鶴の頭にはインカムでの会話しか入っていないらしい。
「うん、…かずっちゃんが言うなら!帰ったら飴ちょうだい。」
そう言ってからその場で立ち上がりメタグロスをモンスターボールに戻すと、千鶴は儀式者達や仕入れの一行のことなど忘れたように駆け出した。一拍反応が遅れたものの千鶴の進行方向にいた橘平が引きとめようと手を伸ばすが、それは間に合わず、空を掴むことになる。
その後に残されたのは、訳もわからず立っている儀式者達と座り込んだ仕入れの一行、そして破壊しつくされた林道だけだった。
++++++++
なげえ!!
ムウマ達は完全撤退後ということでどうかお願いします。
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RE:リレー小説本編スレ3
Name:鈴木ニコ Date:2011/12/02(金) 00:05
このスレはここでおしまいです。
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