[13] リレー小説本編スレ2 [ 返信 ]
Name:ミンズ Date:2011/11/18(金) 19:12 
リレー小説本編を書き進めていくスレです。
文章の解釈に迷ったり今後の展開などで言いたいことがありましたら設定用掲示板のリレー小説議論スレへどうぞ。
設定用掲示板:http://www3.atpaint.jp/mysyn/index.htm

スレが長くなったなと思ったら適当に次スレ立ててくださってOKです。

[14] RE:リレー小説本編スレ2
Name:ミンズ Date:2011/11/18(金) 19:14
足が痛い。
そこにいた若者たち5人全員が同じことを思っていた。
足が痛い。早く終われ。

彼らは粗末な板の間に申し訳程度に綿の入った座布団をあてがわれただけで正座させられていた。
今回の儀式に臨むにあたっての訓示を授けられている最中である。
カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ、イッシュの5つの地方をそれぞれ代表して神事を司る家系の直系である5人の若者たちは今、ほとんど感覚の無くなった足に意識の大半を向けながら、長々とした訓示を聞くともなしに聞いていた。
まずは、この神事の元となった神話のおさらいから。
その昔、5つの地方の人々はマイシン島の存在を知ることなく暮らしていた。
ある年、カントー地方で争いが起きた。原因は明らかになっていないが、その戦火は徐々に拡大し、戦争と呼べる規模にまで発展した。人々の心は荒んだ。
時を同じくして、ジョウトは流行り病、ホウエンは異常気象、シンオウは公害、イッシュは冷害に苦しめられ、人々の生活は困窮を極めた。
困った人々の一部は新天地を求めて世界を彷徨い、このマイシン島へ辿り着いた。
そしてそこで、莫大な力を持つポケモンと邂逅を果たした。
すなわち、カントーの人々はミュウ、ジョウトの人々はセレビィ、ホウエンの人々はジラーチ、シンオウの人々はシェイミ、イッシュの人々はビクティニと出会い、その力におののき、救いを求めた。
人々の求めに応じ、ミュウは戦を鎮め、セレビィは人々を癒し、ジラーチは星空をもたらし、シェイミは大気を浄化し、ビクティニは土地を温めた。
5つの地方は救われた。
人々はポケモンたちに感謝し、彼らを5神として崇めた。
彼らと出会った場所に神社を建て、彼らにゆかりのある物を神器として納め祀り、彼らに救われたことを神話として語り継いだ。
この神事は、マイシン島全土を巡って5つの神器を集め、5神を召喚することが目的である。
神器は結界に守られていて、若者たちのパートナーであるポケモンたちが結界を解く力を持っている。
ただしその力は信頼できるパートナーと共に在る環境でのみ発揮できるものである。
神事の最中はパートナー以外のポケモンを使ってはならない。
若者達はげんなりしていた。これらは全て、ここに来る前に親から聞かされて知っていることである。
神事に臨むにあたっての心構えやパートナーとの在り方などの有り難い精神論を延々と右耳から左耳へ通過させながら、彼らはひたすらこの訓示が早く終わることを願っていた。

長かった訓示がようやく終わると、彼らはしびれた足でよろよろと立ち上がって伸びをした。
外に出ると、太陽ときらきら輝く水平線が眩しい。
ここから始まる旅に思いを馳せて、気を引き締める者からやる気の無い者まで抱く気持ちは様々だが、誰もが訓示から開放されたことを心から喜んでいた。
そんな若者たちを見回して、初老の男性は微笑んだ。
「出発だな。長い旅になる。くれぐれも無理はしないように、力を合わせて頑張って来るのだ」
ユメトが微笑み返して答える。
「ありがとう。きっとこの神事を成功させるよ。…さあ、行こうか。最初の町はこの東にあるアスクレタウンだね」
皆を促して、夕日を背に歩き出す。
彼らの旅が、今、始まろうとしていた。

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冒頭部分終わり!
よっしゃああああああああああああああああこっからハイパーフリーダムモーーーーーーーーーード!
思う存分冒険して絡もうぜ絡もうぜ!

[15] RE:リレー小説本編スレ2
Name:如月ユイナ Date:2011/11/19(土) 23:48
「で、出発してすぐでなんだけど。」
ククルタウンを出てしばらく歩いてから、今まで巡や司と軽く雑談を交えながら進んでいたユメトがほんの少し首を傾げながら言った。
「今日は流石に野宿だよねえ?」
その台詞に今までの談笑には完全に我関せずだった、例の自己紹介を拒否した少年が嫌そうな顔をする。要も表情に出たのは僅かだったが、内心では憂鬱なため息を吐いていた。
「まあ、そうなるだろうな。この辺りに宿は望めそうにない…いっそククルタウンまで引き返すなら話は別だけど…」
「それかっこわるいね。」
「…僕もそう思うよ。」

そんなユメトと司の会話を聞いていた巡が控えめに提案する。
「じゃあ、今日はちょっと早めに支度しますか?」
「そうだね!俺たち旅は初心者だし、そんなスムーズにキャンプの準備できると思わないほうがいいのかも。ちょっと余裕持って準備しよっか。」
そのユメトの言葉を合図に、一行は野宿の場所も考慮しながら歩みを進めることにした。といっても協力的なのは三人だけで、常に無関心な少女と、常に不機嫌そうな少年は相変わらずただついてくるだけだ。その空気のまま初野宿を迎えるかと思われた五人だったが、少し進んだ所で唐突にユメトが、そっぽを向いて面倒くさいというのを隠しもせず顔に表して、四人より少し後ろを歩いていた少年の横に移動する。

「ねえねえ、」
「……。」
「ハルくんって呼んでいい?」
「……は?」
明らかに話しかけるんじゃねえという態度をとっていた少年だが、ユメトの突然の意味のわからない質問に一瞬素で呆けた。が、次の瞬間には元の顔に戻ってユメトを睨む。
「意味分かんねえ。」
「んー?いや、俺だって本当はキミの名前で呼びたいんだけど、教えてくれないから。呼び名がないと不便でしょ?はるきくんっぽい顔してるしハルくんでいいかなって。」
「……。」
「ハルくんでいいよね?」
「……」
先ほどよりも顔をより不機嫌そうにしかめた少年だったが、ユメトは全く気にしていませんというようにニコニコしながら許可を求める。しばらく顔を背けて文句がありそうな顔をしていた少年は、なかなかユメトが隣を離れないと分かると、心底嫌そうに舌打ちをしてからぼそりと呟いた。
「……橘平。」
「ん?」
「俺の名前、戦部橘平(いくさべ きっぺい)。…分かったら勝手に変な名前つけてねえでさっさとどっか行けよ。」
「わかった、橘平くんだね。改めてよろしく。」
「だからどっか行けつってんだろ!」

イライラとした橘平の声を受けたが、ユメトは笑顔のまま前の方で歩いていた巡と司の元に戻った。自己紹介の時にも橘平に注意をした司が、信じられないといった表情でため息を吐く。
「仮にもこれから儀式のために行動を共にしようという仲間相手に、こんな態度は感心できないな…。」
「彼にも何か事情があるのだろうと思うんですけど…確かに、少しやりにくいですね。」
困ったように笑う巡も司に同意する。しかしもうだいぶ日が傾いてきていたので、野宿に最適な場所を探すうちにこの話題は霧散したのだった。

+++++++++++
時間かかってごめんなさい!
長くなりそうだったけど削ったらわりとスッキリしました。(当社比)

[16] RE:リレー小説本編スレ2
Name:鈴木ニコ Date:2011/11/20(日) 05:43
最初の野宿場に選ばれたのは、道をすこしはずれた森の中で見つけた小さな公園だ。金切り声を上げて揺れるブランコ。白目を剥いたドンファンの滑り台。呪詛が刻まれた公衆トイレ。司はひそかに身震いしたが、もう日が暮れる。他の場所を探している時間はなさそうだ。大丈夫。まだまだ信頼できるとは言い難いが、仲間たちがついている。いや、充分な信頼関係を築けていないからこそ、彼らに醜態を見せるわけにはいかない。覚悟を決めろ!平儀野 司!

「ねえねえ。野宿の醍醐味、キャンプファイヤーしようか」
「! キャンプファイヤー…そ、そうだな。火があれば、明るいし。暖かいし。野生のポケモン避けにもなるし。明るいし」
「決まり!火は俺とオペラで用意するよ」
「あ、じゃあ、俺は消火用の水を汲んできますね」
「橘平くん、フォークダンスする?」
「しねえよ!!!」

巡がトイレの清掃用具入れで見つけたバケツに水を汲んで戻ってくると、キャンプファイヤーの炎が公園を青白く照らしていた。人魂のような、シャンデラの青い炎だ。それを呆然と見つめている司の顔も青い。
「平儀野さん…?大丈夫ですか」
「! あ、ああ。平気。何でもないんだ……………… ん?」
バケツを受け取って、組木の隣に置いたところで、違和感に気付く。
「堅苦しいな、巡。こうして仲間になったわけだし、もっと気軽なかんじでいいんだ。少なくとも、僕相手に敬語とさん付けは不要だ」
「え。 ええと……………じゃあ、司、さん」
「つ、か、さ」
「つ、つか………………… うう。ごめんなさい、無理です」
「むう。意外と頑固だな…」

「おふたりさん、」
「うわあああああっ!!?」
司と巡の間に割って入ったのは、炎の調節を終えたユメトだった。不意を突かれた司の絶叫も気にしない様子で(巡は硬直していた)、ゆったりと首を傾げる。
「ねえ。おなか空かない?」

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長いわりに全然進展がなかったです\(^o^)/かなめたんの出番が皆無で申し訳ない。本当はキャンプファイヤーを囲ってフォークダンスするきっぺちゃんとユメトお兄さんを見たかったのですが。
こわがり王子と、平儀野さん呼びを書けたので、その点は満足。

[17] RE:リレー小説本編スレ2
Name:スラリン Date:2011/11/20(日) 07:03
「…確かに、あれから何も食べてませんからね」
「そうだな…」
儀式初日で緊張していたのもあってか、今更空腹に気が付く。自覚すればするほど腹の虫がなりそうだ。
ユメトがにっこりと笑って2人を見つめる。
「俺、ホウエンのお土産持ってきてるんだ。皆で食べよう?」
「あ、俺も持ってきてます。羊羹」
「僕も持ってきてる…って、羊羹はここで食べられるのか?」
「あ、買った時からカット済なので大丈夫ですよ」
「…私も。饅頭あるから」
先ほどから炎…ではなく、オペラを凝視して黙っていた要が初めて口を開いた。
(…本当は可愛い女の子に食べてもらいたかったんだけどな…)
「…馬鹿みてえ。」
「橘平くんは何か持ってきてる?」
「持ってきてるわけねえだろ!!」
煎餅、羊羹、チョコレート、饅頭。
持ってきたお土産を集めると結構な量になった。
「とりあえずは今日はこれでいいかな」
「そうですね、食べましょう」
ここにはどういうジムがある、どういう施設がある、こういう風習があって…
地方限定の名産品ということもあり、皆で自分の育った地方の話に花を咲かせた。
口数の少なかった要も、必要最低限の会話だったが話には混ざってくれた。
橘平だけはムスッとした顔で何もしゃべらなかったが腹は減っていたようで、饅頭や煎餅を度々口に入れていた。

しかし、

「やっぱりあんまりおなかには溜まらないよねえ」
「…一応、お菓子だからね」
育ちざかりの子には、到底足りる量では無い。
「他に何かあるかな」
「あ、そういえば」
司が立ち上がる。
「ここに来る途中、川があっただろう?その川の向こう側に、モモンのなっている木を見つけたんだ。少々の空腹なら紛らわせるだろう。取りに行ってくるよ」
「俺も行くよ」
ユメトが立ち上がろうとしたのを司が止めた。
「1人で大丈夫だ。ユメトは残っていてくれ。それに、」
要に視線をやりながら言う。
「夜は危ない。女の子の傍から離れないでやってくれ」
その言葉を聞き要が多少眉間にしわを寄せたが、それを気にせず司は公園の出口を目がけ結構なスピードで走り出した。
…やっとここから逃げられる、とか思ってないからな!

「…やれやれ、あの子も女の子なのにね」
「大丈夫でしょうか…」
「あんなやつ、勝手に行かせとけばいいんだよ」

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ちょっと冒険させてみました。
4人で待ってるも良し、心配して誰か着いてきてくれるも良し。
もっとお土産について掘り下げたかったですね。あの公園は、王子じゃなくても怖い。

[18] RE:リレー小説本編スレ2
Name:ミンズ Date:2011/11/20(日) 10:44
「行ってあげて」
要が口を開いた。
「あの人も女の子だから、オペラちゃんのトレーナーさん、一緒に行ってあげて」
ユメトが快く承諾する。
「言われなくてもそうするつもりだったよ。あと、俺の名前ユメトだから。オペラ、皆をお願いね」
公園の外へと駆けていくユメトを見送って、要はオペラににじり寄った。
「オペラちゃん、かわいいね。そのリボン、トレーナーさんにつけてもらったの?」
こくこくとオペラが頷く。ちょっと誇らしげだ。
「オペラちゃん、一緒に滑り台滑らない?ブランコの方がいいかな」
それを聞いて、巡が控えめに口を挟む。
「あの…どちらも炎がなびいて危ないと思いますよ」
要が真顔で返す。
「オペラちゃんとの火遊びで火傷するなら本望」
「!?」
その言葉に危険なものを感じて、オペラは要から距離を取り、巡も一歩引いた。少し離れたところに座り込んで我関せずという態度で聞いていた橘平も僅かに顔を引きつらせる。
そんな周囲の反応を意にも介さず、要は続ける。
「オペラちゃんのこと、いっぱい知りたいな。お饅頭おいしそうに食べてくれたけど、甘いもの好き?あと、そこの人の自己紹介でオペラちゃんのトレーナーさんがネオラント見るの楽しみって言ってたとき嫉妬してたみたいだね。かーわいい。オペラちゃんはトレーナーさんのことが好きなのかな?いいな、私のことも好きになってくれる?」
身の危険を感じたオペラは橘平の後ろに逃げ込んだ。
「あ、逃げられた」
要が残念そうに言う。
「トレーナーがいるんだから仕方ないね。私もリミティが他のトレーナー好きになったら嫌だし。ね、リミティ」
傍らのリミティを抱き上げて、どことなくいやらしい手つきで撫で回す。
「リミティって幼児体型だよね。…最高」
完全にドン引きしている男2人を無視して、要はオペラに笑いかけた。
「これから仲良くなっていこうね、オペラちゃん。私たち、あっちで遊んでるから。混ざりたくなったら来てね」
そう言って、リミティを抱いて黙々と滑り台を滑り出す。あまり楽しそうに見えないが、本人たちは楽しんでいるのだろう。
薄暗闇の中、白目を剥いたドンファンの滑り台を延々と登っては滑り、登っては滑りを繰り返している17歳児とそのポケモン。
そんな異様な光景に完全に毒気を抜かれた橘平は、思わず自分から巡に話しかけた。
「俺…本気で帰りたくなった。今までも本気だったけどよ」
「俺も仲間と通じ合えるかどうか不安を感じていたところです」
揃って、オペラを気の毒そうな目で見つめる。
「早くユメトさんが帰ってくるといいですね」

+++++++++++++++++++++++++
かなめがオペラを凝視している描写が2度も出てきたので伏線回収してみました。
トレーナーがいなくなって変態絶好調。
かなめの言う火遊びは大人の火遊びです。念のため。
いや、女の子相手なら物理的な火遊びで火傷しても喜びそうな気がしますが。

[19] RE:リレー小説本編スレ2
Name:日夏ゆうり Date:2011/11/21(月) 19:08
 司は今一度身震いした。ただただ暗い獣道に自らの乾いた足音のみがカツカツと音を立てる。
「カァーッ!」
「ひっ!」
 時たま聞こえるヤミカラスの甲高い鳴き声に幾度と背筋を凍らせながら、川の向こうのモモンの木へと、半ば駆け足のような状態で歩を進める。司は正直なところ、公園を離れ、単身モモンの木を目指す役を買って出たことを、今、とてつもなく後悔していた。
 この暗がりに既に参っているのに、加えて、一向にモモンの木に辿り着く気配がない。うっそうと茂る黒々とした木々の合間に、闇は深まるばかりだ。嫌な予感がする。
 もしや、迷ったのではあるまいか。
 迷うような道ではなかったはずだ。真っ直ぐ歩けば川に辿り着けるはずなのである。なのに思えば先ほどから同じ景色しか見えないではないか(暗いからそう見えるだけかもしれないが)。
 まるで全身が耳になったかのように、ドクドクと心臓の鼓動が鳴り響く。
「やはり一度戻ろう」
 ここで引き返すのが無難だと判断した司は、自らにそれを呟くや否や、すぐさま踵を返した。仲間たちには、川まで辿り着いたが、モモンの木はなく、それは自分の思い違いだったようだと伝えれば、迷ったことや、ましてや暗がりに怖がっていたことなど悟られることはなかろう。

 自然とはやる足並み。元来た道を引き返すだけなのに、なぜか永遠を歩いているようにも思える。
 半分ほど引き返したところだろうか。
「キャァーッ!!」
 突然、静寂を裂くように女性の叫び声が耳に飛び込んできた。頭の天辺からつま先まで血の気がサーッと引いていく。
「い、今のは……」
 公園で要が叫んでいるとでも考えたかったが、流石にこの距離で、あれだけはっきりと聞こえるだろうか。まさか……。
 瞬間、司は一目散に獣道を駆け出した。
 目前に曲がり角が迫る。減速せずに曲がり切ろうとしたとき、白い影がぬうっと姿を現した。
「いやぁあああああ!!」
 自分でもびっくりするほど女の子らしい声を出しながら、司はへなへなとその場に座り込んだ。

「だ、大丈夫?」
「へ……?」
 恐る恐る顔を上げると、そこには相変わらず穏やかな、ユメトの顔があった。
「何だ……ユメトか……」
 安堵感が胸に広がるのと同時に、恥ずかしさが襲ってきた。あの声、確実に聞かれている。
「驚かせちゃったかな、ごめんね。司ちゃん一人で行かせるのは心配だったから付いてきたよ」
「い、いや、大丈夫」
 ユメトは、先ほどの司の叫び声については何も言及しなかった。それがありがたいことなのかどうか、司には図りかねたが。
「それで、モモン、採ってこれた?」
「いや、川の向こうまでは辿り着いたんだが……」
 司が早速、先ほど考えた言い訳を口にしようとしたとき、ユメトがそれを、右手を挙げて遮る。
「何かいる」
 再び心臓が鷲掴みにされるような思いがした。半歩ほど後ろに下がって成り行きを見守ると、目前にひとつ、またひとつと赤い光が現れる。
 漏れそうになる叫び声をこらえながら、闇に視線を集中させると、浮かび上がってきたのは、吊り上がった赤い瞳に数珠の首飾り、ゆらゆらと揺れる髪の毛のような頭部が印象的なポケモン――ムウマの群れが一列にずらっと並んだ光景だった。

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一生懸命削ったけど長いぞ!
こわがり王子の描写に力を入れました!(`・ω・´)王子かわいいよ王子
突然聞こえた女性の悲鳴はムウマの仕業、モモンの木まで辿り着けなかったのも…?みたいな展開かなーと思っていますが、好きなように伏線使ってやってください^^

きっぺとユメトさんのフォークダンスに吹いた。

[20] RE:リレー小説本編スレ2
Name:スラリン Date:2011/11/21(月) 23:07
「…まずいな。随分とお怒りのようだね」
「まさか、さっきの悲鳴もムウマの…?」
「そうかもね。けれど普段はいたずら好きなだけで、こんなに人に敵意を持ったりは…」
ユメトが、はっと気が付いた。一つの答えにたどり着く。
「ここはムウマたちの縄張りなんだ」
2人が話している間にも、ムウマたちはじりじりと2人との距離を詰めていく。
それに合わせてユメトと司も後退するが、この狭い空間ではそうできるのもあと少しだろう。
「ユメト、オペラを!ゴーストにはゴーストが一番…」
ユメトがため息交じりに首を振った。
「ごめん、皆と公園にいる」
「そんな…っ!!」
その瞬間、司のポシェットがガタガタと動き出した。
司の切羽詰まった声を聞いたメイリオが、主人を守るためにボールから出たがっているのだ。
「司ちゃん、メイリオを早く!」
「でも、メイリオを出すとムウマたちが!!」
メイリオの性格を考えると、非力なムウマたちにも全力で攻撃する姿が安易に想像出来る。
今回の一件は勝手に縄張りに侵入した自分に完全に非がある。それなのに彼らに攻撃するなんて、あまりにもエゴイスティックな行動だ。
もしかしたらあのモモンの木も、ムウマたちの…
一歩後退した時、背中に硬い何かがぶつかる。見ると大きな木の幹が後ろにそびえていた。もう後退は出来ない。
ムウマたちの首飾りが紫色に不気味に光り出す。サイケこうせんか、シャドーボールか。そのどちらでも無いにしろ、彼らが攻撃態勢を取っているのは明らかだ。
「司ちゃん!!」
「っ…!メイリオ!!」

白いボールが一度跳ね宙に舞う。
刹那、大きなゼブライカが待っていましたとばかりにボールから飛び出した。

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きゅううううん!!!
先ほどまで要に怯えてじっとしていたオペラが、突然声を上げ右往左往し始めた。
「オペラちゃんどうしたの?私と遊びたくなったのかな?嬉しい!」
ようやくドンファンの滑り台から離れると、リミティを抱えてオペラに近寄る要。
オペラがそんな要から逃げるように、逆方向にすべるように移動し始めた。
その先にあるのは、先ほど2人が出て行った公園の入口。
「あ!待ってオペラちゃん!」
要も負けじとオペラを追いかける。
「とうとう耐え切れずに逃げ出したか…」
「彼女たちを放ってはおけません。行きましょう!」
2人を追って、巡も行ってしまった。
「え、おい!てめェ!!…くそっ、めんどくせぇな!」
バケツをひったくるようにつかむと、燃える青い炎の上にぶちまけた。みるみるうちに炎は煙に変わってゆく。
小さくなりつつある巡の後姿を走って追いかける。やる気の無い彼が見せた、この旅初めての全力ダッシュだった。

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メイリオを使ってムウマを傷つけずに追い払う方法もあったんですが、皆出した方が面白いかと思って。火の後始末をちゃんとする偉いきっぺちゃんが書きたかったのです\(^o^)/
火は消えちゃいましたが、後からつけなおせば大丈夫ですよね。きっぺちゃんとユメトさんのフォークダンスはそれからです。
そろそろスレ新しくした方が見やすいですかね?

[22] RE:リレー小説本編スレ2
Name:ミンズ Date:2011/11/22(火) 06:32
このスレはここでおしまいです。
ここから先は次スレへどうぞ
次の方はスラトドンの続きからですね。

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